私は幼い頃から鉄道が好きで、特に中学受験が終わって小学生最後の春、九州の親戚の家の傍で蒸汽機関車を間近に見てしまって以来蒸機の虜となって、日本での現役運行が終了した1975年以後も東ドイツに通い、1990年頃からは中国にも通うようになりました。
そんな私ですが鉄道模型も中学以来趣味として楽しんでいました。そして1997年12月遂に事業としての鉄道模型店を始めてしまいました。
事業まで始めて、製造まで始めて、協力業者様とも親しく交流していましたが、あらゆる仕事をする業者様、プレス屋さんやエッチング、メッキ、機械加工、モーター製造まで多方面で廃業する業者様が続出し、その後の対策に駆け回る事態に陥っています。その主たる原因が後継者不足です。
そして気がついてみると世界の工場であったはずの日本が何をとっても劣勢で、Made in　Japanは何処にも見当たらない世界になりつつあります。
日本での「ものづくり」は日本人の精神性に基づいてとても繊細であり、それは日本の文化の一部を成すと感じています。
本財団は日本に於ける「ものづくり」を支える意志のある若者の支援を通じて、日本の「ものづくり」産業の危機を乗り越える一助となることを希望いたしております。

2023年11月
一般財団法人井門奨学財団　代表理事　井門義博